目次先週の乱高下を振り返る…4/29の介入…5/1の介入なぜ通例を無視した時間帯で介入が行われたか?巨大化した為替市場中銀の介入が負けること […]
Executive Summary
- ドル円は、年明け早々の1月3日に一時およそ1.9円も急落し7カ月ぶりに130円割れの展開。前回のレポートで指摘した通り、年始の急変動はその年の方向性を示唆する場合があり、このアノマリーが正しければ今年は円高に振れる公算が大きい。
- ドル円はその後、複数の関係者の話として「日銀はイールド・カーブ・コントロール(YCC)の修正に急がず」との報道に加え、米雇用統計前に発表された力強い労働指標に反応し、一時134.77円まで戻りを試す場面も。
- ただし、200日移動平均線がある134.70円付近で売り圧力に屈したほか、米12月雇用統計で平均時給の伸び鈍化などに反応し、ドル円は132円前後まで急落。FF先物市場では、結果を受け引き続き次回1月31~2月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅を前回の0.5%から0.25%へ縮小すると織り込まれる状況。また、利上げ打ち止め時期も3月FOMC(4.75~5.0%)と、22年12月FOMC参加者予想・中央値の5.0~5.255以下をそ上値。一方で、利下げ転換時期は再び11月に前倒しされ、12月も追加利下げが織り込まれ始めた。こうした金融政策見通しは、ドル円の上値を重くさせるだろう。
- 今週は1月10日にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演と、同12日に米12月消費者物価指数(CPI)を控える。FF先物市場での金融政策見通しに沿う結果となれば、再びドル円は130円割れを試しそうだ。仮に米CPIの結果などがドル円の上昇を促したとしても、200日移動平均線の134.70円を始め抵抗線が複数走っており、上値余地は狭いと見込む。
今週の為替相場の振り返り=年始早々に130円割れ、米12月雇用統計後も円高傾向
【22/12/26-23/1/6のドル円レンジ:129.50~134.77円】
・ドル円は22年12月29~30日にかけ下落、年明け早々の1月3日には一時129.50円と、約7カ月ぶりの水準までドル安・円高が進行。
・その後、米12月雇用統計の発表前、同指標の前哨戦となる米12月ADP全国雇用者数や米11月求人件数、米新規失業保険申請件数がそろって力強い結果となり、ドル円は戻りを試す展開。
・米12月雇用統計発表直前には、複数の関係者の引用を基にブルームバーグが「日銀はイールド・カーブ・コントロール(YCC)の再修正急がず、12月決定の影響と効果見極め」と報道したため、一時134.77円と日銀が長期金利の許容変動幅を拡大した22年12月20日以来の水準を回復。なお、このニュースを配信したブルームバーグの藤岡徹記者は、かつて日銀関連のスクープを連発していた同社の日高正裕記者と連名で記事を配信していた事情から、信憑性が高いと判断されたもよう。
・しかし、134円半ば付近は22年12月29日の下落局面での高値にあたるほか、200日移動平均線が134.70円付近にあり、上昇にブレーキ。
・さらに米12月雇用統計で、労働参加率の改善を受けて平均時給の伸びが市場予想以下となり、賃上げ圧力の後退を確認。米連邦準備制度理事会(FRB、Fed)の利上げ幅は今後縮小するとの見方を招き、ドル円は一転して下落し一時132円前後まで押し返された。
・米12月雇用統計の結果を受け、FF先物市場では引き続きターミナル・レート(利上げの最終地点)は4.75~5.0%と、22年12月FOMCでの予想中央値5.0~5.25%以下が織り込まれる状況。一方で、利下げ転換時期は再び23年11月へ前倒しされ、同年12月にも追加利下げが想定され、Fedが緩和に転じるとの見方が比較的優勢だ。
〇FF先物市場、1月6日時点でのターミナル・レートは4.75~5.0%、昨年末にかけ利下げ転換見通しは23年12月となったが、米12月雇用統計後は再び23年に11月と12月の2回の利下げを織り込む。
〇ドル円の日足チャート、ドル円は戻りを試すも、22年12月29日の高値134円半ばと200日移動平均線(グレー線)がある134.70円付近で上値重い
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