<テクニカル分析判断>
●短・中期:短期時間軸から騰勢減退し地合いは悪化も、「中期上昇トレンド」は依然維持
□1/13週は「寄付157.71:154.98~158.19:終値156.27前週比▲1.47円の円高)」の推移
◆上記の通り、先週は▲1.47円の円高と前週の陽線から再び陰線に転じた
◆また、前週比で「下値・上値が共に切り下がり」、短期時間軸主導で「テクニカルな地合いが悪化」した格構となっている
=>>>先週の結論において、短期時間軸を中心に懸念点として挙げた『(短期的に)上昇モメンタム(勢い)に陰り』が一段と進展(詳細は後述)
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◇これに対し、➊「前週の陽線が直近の高値を更新」していたうえ、➋「先週の陰線は下ヒゲが長め」で“押し目買い圧力(下値支持力)”の強さを示唆」している
=>>>RSIやストャスティクスの水準/形状からは、昨年7月初のような『上昇の過熱』は感じられない(むしろ更なる上昇余地すら感じられる)
◇一旦60台へ上昇したRSIは先週の反落によって再び60を割り込み、依然「上昇余地が残存」
=>>> 4週前から「再度の上方トライに転じ」ていたストキャスティクスも高位横ばいの可能性が残存
◇また、ここ4週ほどの21週移動平均線(MA)の急反発傾向から、52週MAとのゴールデン・クロスも着実に接近しつつあり、このまま急落がなければ来月上旬には示現する見込み
◇この強力なサポートラインとなっていた21週MAの上昇に伴い「(テクニカルな)上昇余地は更に拡大」してゆくものと見られる
>>>なお、前週に2.64円へとやや拡大基調にあった週間変動幅は、想定通り先週3.21円へと更に拡大した
■一方、「上昇トレンド」を否定するまでには到っていないものの、短期時間軸では「上昇ペース鈍化⇒下落圧力の高まり」が鮮明となりつつある
=>>>先週の推移は(週末に力強い反発が見られたが)概ね「下値切り下げ」が主流だった
=>>>これに伴い、上図右上の点線囲いにある通り「強い下値支持線である21日MAを終値ベースで下回り、テクニカルな地合いは急速に悪化」
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□ただし、以下の諸点から「底打ち」の兆候も見てとれる(上図ご参照)
➊12/3(148.65)~1/10(158.88)の上昇幅(10.23円)の38.2%押しに当たる154.97円で下げ止まり、反発に転じたこと
➋➊と同様に「12/3と12/6の安値を結んだ上昇トレンドライン(155.00@1/17)」近辺で下げ止まり、反発に転じたこと
➌21日MAを下回ったものの、先週より強力な下値支持線である52日MA(紺の太線:154.67@1/20早朝)
に急接近したこと
➍RSIは「(過去1年程)反発のポイントとなりやすい44.0の水準」に達し、底打ちの兆候を示したこと
➎ストキャスティクスも「いつ反発に転じてもおかしくない水準」まで低下していること
□また、直近4週の保合い/反落はそれまでの「上昇ペース」を緩和する『自律的な速度調整』に該当すると考えられ、今回の上昇サイクルは依然『秩序だった変化(上昇)の範疇にある』と考えられる
以上から導き出された<今週のテクニカル分析の結論>は以下の通り
◆先週の明確な下落によって、短期時間軸主導で「テクニカルな地合いが悪化」したとの懸念は残存
◎しかし、短期的には既に底打ちを示唆する事象も見られ始めており、もとより強調を維持している中長期と併せて「テクニカルな地合いが再び好転し“上昇トレンドの継続”を改めて確認」する展開を想定している
=>>>折に触れて、秩序だった上昇サイクルの中で自律的な速度調整を交える可能性はあろうが、中長期的なUSD円相場の方向感は(依然として)基本的に上方だと考えられる
=>>>なお、他の金融市場の変動率も高まってきているため、週間変動幅は再び拡大して行くことが見込まれる
□引き続き「過度に予断を持つことなく」変化の兆しを見落とさぬ姿勢を継続した上で、終値が以下の水準を「突破or維持」できるかどうかに注目している
② 158.85円=21週MA +4.95%
③ 157.90円=21週MA +4.32%
⑤ 155.10円=21週MA +2.46%
⑥ 154.20円=21週MA +1.86%
>>>上記③(上方)と⑤(下方)が抜けると加速すると思われる水準
~以下では『短期・中期・長期の方向性』についての分析ポイント及び各時間軸での想定レンジをご案内します。(今号の分析は2025/1/17のNY市場終値をベースに実施) ~
<以下の用語補足:「MA」=移動平均線、「RSI」=(上下への過熱を示す)相対力指数>
➊日足チャート:「21MA±4.32%のバンド、52MA & 200MA」、RSI等
短期(1週間~1か月)の方向性:テクニカルな地合いは悪化も底打ちの気配台頭
〇上図は直上を再掲。コメントについても既掲のものをご参照下さい
□直近4週の保合い/反落はそれまでの「上昇ペース」を緩和する『自律的な速度調整に該当』していると考えられ、今回の上昇サイクルは依然『秩序だった変化(上昇)の範疇にある』模様
>>> 想定レンジ=今週:154.20~158.85、今後1ヶ月:153.25~161.75=
➋週足チャート:「21MA±4.32%/±7.41%/±9.87%のバンド & 52MA」、RSI等
中期(1か月~半年程度)の方向性:騰勢鈍化の懸念あるも強い地合いの上昇トレンド継続
〇上図は冒頭を3年に拡大。書き込みも極力排除したもの(コメントは既掲のものもご参照)
□上図はUSD高円安が急加速した2022年3月以降を中心に表示。以降、2022年4Qと2024年3Qに急激な「USD高修正局面(≒中期下落トレンド)」を交えてはいるものの、52週(≒1年間)移動平均線(太い青線)は右肩上がりの形状を維持しており、現在も長期上昇トレンドは継続
=>>>ただ、その傾き(上昇ペース)は「次第に緩慢」になってきている点には要注意
◎また、(そうした地合いの中)21週MAと52週MA/RSI等のオシレーターの位置関係から『緑の太い点線枠2つは類似性が高い』と考えられる
>>>今後6か月間の想定レンジ = 149.85~165.75⇒149.40~164.55=
➌月足チャート:「20MA±18.0%のバンド」「60MA±30.0%のバンド」、RSIを付記
長期(半年超~1年程度)の方向性:短期での地合い悪化も、長期上昇トレンドに著変なし
□想定通り、大幅な陽線を形成して12月を終了し『超長期上昇トレンドの継続』を確認(ストキャスティクスにも底打ち/上昇サイン点灯中)
◇既述の短期時間軸の地合い悪化はあるものの、長期上昇トレンドには著変はないと考えられる
>>> 今後1年間の想定レンジ = 149.85~167.70 ⇒149.40~167.25 =
<ファンダメンタルズ分析判断>
◆米国:大幅に後退していた利下げ期待が復活。金利急低下と共に、株式は大幅に反発
◆日本:1月利上げを示唆する日銀トップ2の発言から金利上昇・株式続落
◆USD円:前週比大幅低下の米金利の影響でUSD指数は7週ぶりにやや下落。USD円は大幅反落
◇米債利回り:消費/インフレ指標は市場予想をやや下回った上、ウォラーFRB理事が「3月の利下げ」や「年内3-4回の利下げ」に言及したことなどから(前週までの反動も手伝い)先週の米債利回りは週後半にかけて大幅に低下。週末にはFRBが発表した12月の製造業生産指数が前月比+0.6%となり、市場予想の+0.2%を大きく上回るなど、この日発表された一連の米経済指標がいずれも景気の底堅さを示す内容だった。これを受け『FRBが利下げペースを緩め、年内利下げは1回となる公算大』との見方が再び強まった。データ発表後、米金利先物市場が織り込む年内の利下げ幅は計0.39%に低下(前日1/16には同0.45%)。市場では『次回の利下げが6月のFOMCになる確率は66%』とみている模様
> 2年債利回り:1/10 4.383% ⇒ 1/17 4.283%(2週前比 ▲0.100%低下)
>10年債利回り:1/10 4.763% ⇒ 1/17 4.623%(2週前比 ▲0.140%低下)
=>10年-2年の利回り差は「+0.340%と前週(+0.380%)比で6週ぶりの縮小」(下図)
今週もご質問が多かった株式市場に対する現在の認識からご案内します。
筆者都合により詳述を割愛した2週前の株式市場は
<<「“想定以上に堅調な経済指標”から長期主導で金利が急上昇」し、想定していたように「堅調な景気よりも“株式の割高感”に焦点が当たり米国だけでなく株式市場は世界的に急落」する『波乱の本格スタート』となってしまいました>>(先週のweekly report)
こうした状況から下落継続が懸念された先週でしたが、金利低下が追い風となった米欧市場が急反発を見せた一方で、金利上昇が目立った日本では大きく続落となり米欧とのコントラストが再び鮮明となりました。(さすがに本日の東京市場は反発するでしょうが…)
このコントラストの主因は何なのでしょうか?
かねてよりご案内の通り、我々は「景気とそれに見合った金融政策」だと考えています。
<<◎独・英・仏の事例を挙げるまでもなく、主要先進国の中では「最も良好な景気と最も安定的な政策運営が見込まれる“トランプ2.0”を有する米国の比較優位が維持されやすい状況」は来年にかけても続き、これに伴う米金利・USD指数の堅調(上昇)も継続する見込み>>(12/23のweekly reportより)
このように「景気が底堅い米国と景気刺激のために金融緩和に舵を切った欧州」の株式市場が活況な理由は明白です。一方、景気回復のペースが加速しない中で(輸入物価上昇を主因とした)インフレに呻吟するわが国では「追加利上げ(金融政策の正常化)」を進展せねばならない状況です。
勿論、相対比較による「出遅れ感」からある程度の連れ高は期待出来るかもしれませんが、本邦の株式市場が主体的・自律的に上昇することは現状ではかなり難しいと思われます。
これを肌感覚で感じ取っているのか、「投資立国ニッポン」を目指す我が国の(証券)投資マネーは米国を中心とする海外へ大きく流出する流れが定着しつつあります。それは、昨年1年間の新NISAの増加資産ランキングを見れば一目瞭然です。他方、我々機関投資家にとってもより高いコストパフォーマンスを追求すれば『外貨建て資産への投資比率を高めざるを得ない』のが実情です。
こうした状況そのものが『我々の長期USD高円安シナリオの根幹の一つ』となっていることは言わずもがなです。
いみじくも、先週末1/17付で「世界経済見通し」を改訂しました。詳細は次週以降でフォローしてゆきたいと思いますが、本日は既述のエッセンスがちりばめられている主なポイントをご紹介します。
当該見通しの副題は「Global Growth: Divergent and Uncertain(世界の成長:まちまちであり、なおかつ不確実)」というものでした(「言い得て妙」と思わずひざを叩きました)。
ポイントは以下の通り。
□世界全体の成長率見通し:2025年は+3.2%から+3.3%に上方修正。2026年は+3.3%で据え置き
⇒「コロナ前の20年間(2000~2019年)の平均成長率+3.7%を下回る緩慢な成長が続く」との見通しには変化無し
□内訳
◎米国:2025年は+2.2%から+2.7%に0.5%もの大幅上昇修正、26年も+2.2%から+2.3%に上方修正
●ユーロ圏:2025年が+1.2%から+1.0%、26年は+1.5%から+1.4%にそれぞれ下方修正
△日本、中国、インド:予測は据え置き
上記の通り、今回の改定内容は「世界経済が『American Exceptionalism』≒アメリカ経済の例外的な強さに支えられている」ことが正に浮き彫りとなっていると言えるでしょう。
一方で、その例外的な強さを持つアメリカは「不確実性の震源地」でもあります。
本日1/20には、いよいよ世界中が注目する第二次トランプ政権(トランプ2.0)が発足します。
巷間言われている通り「関税引き上げ、移民強制送還など」が早速打ち出されることになるでしょう。もちろん、支持者へのアピールを目的に「(貿易相手国や不法移民者にとって)表面的にはかなり厳しい内容となる」可能性は否定できませんが、その政策の実行にあたっては、米国の景気や世界の金融資本市場への影響がどの程度配慮されるのかが最も注目されることになるでしょう。
我々も座して刮目します。
お知らせ:米国を中心とする「世界のインフレ・景気・金融政策」の現状分析、並びに短期を中心としたUSD円相場見通しについては、トレーダム(※)為替アンバサダーでもある安田佐和子氏のレポート(Weekly Report等)に詳細かつ非常に解りやすく解説されています。TRADOM会員の方々はサイト内で是非ご参照下さい。
<(※):ジーフィット株式会社は2024/10/1より「トレーダム株式会社/TRADOM Inc.」に社名を変更しました>
ようこそ、トレーダムコミュニティへ!