テクニカル分析判断 サマリー: ●短期:依然として根強い上昇局面にあるものの、そのステージは「終盤」の模様 ●中期:上昇優勢の展開が再来する […]
Executive Summary
- ドル円は12月5~9日週に小動き、買い戻し優勢。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙がFF金利誘導目標を5%超へ引き上げる方針と伝え、ドル円の買い戻しを誘発。
- ただし、ドル円は138円を突破できず。米11月生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回ったものの基調として低下トレンドを確認したほか、米12月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値での1年先インフレ期待が2021年9月以来の水準へ鈍化し、ドル円の上値は限定的に。
- 米長短金利差(例:米10年債と米3カ月物Tビルの利回り格差など)が逆転、約40年ぶりの水準を記録するように、米債市場では景気後退懸念が台頭。
- 今週は12月13日に米11月消費者物価指数(CPI)の発表を予定するほか、12月13~14日公表の米連邦公開市場委員会、15日の欧州中央銀行、イングランド銀行の政策金利発表など、イベントが目白押し。ワールドカップ決勝リーグやクリスマス前という事情もあって、市場参加者が少なく、乱高下しかねない。ただ、仮にドル円が上値を試したとしても、景気後退懸念もあって138円台までか。下値は、引き続き132円半ば程度と見込む。
今週の為替相場の振り返り=ドル円は136~137円を軸に小動き
【12/5-12/9のドル円レンジ:134.13~137.86円】
・ドル円は12月2日に一時133.62円と約3カ月半ぶりのドル安・円高水準をつけた後、買い戻しが優勢。
・ドル買い戻しの引き金を引いたのは、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙のFRB担当記者、ニック・ティミラオス記者による“Fedは今月利上げ幅を縮小も、来年も高金利を維持へ”と題した12月5日付けの記事。ポイントは2つで、①FRBは12月13~14日開催のFOMCで0.5%へ利上げ幅を縮小する見通しだが、②政策金利であるFF金利誘導目標を市場関係者が想定する以上に引き上げ、5%超えに設定する可能性――を伝えた。さらに、12月5日に米11月サービス業PMI改定値が市場予想を上回ったほか、米11月ISM非製造業景況指数が予想悪化に反し改善したほか、136円後半へ戻した。
・米10年債利回りが3.6%付近へ戻すなか、ドル円は12月7日に一時137.86円まで買い戻された。しかし、同日に次期日銀総裁の最右翼取り沙汰された雨宮副総裁が固辞したとの報道が流れ、以降は頭打ち。雨宮氏は金融政策の企画・立案を担当する企画畑出身であり、2013年10月の異次元緩和を設計した人物とされる。それだけに後任選びから外れるならば黒田緩和路線が修正されるシナリオが想定され、円売りにブレーキを掛けたもよう。加えて、NY時間に公表された米7~9月期単位労働コストの伸びが予想以上に鈍化し、ドル円の下値を限定的とさせた。
・WSJ紙の報道でFRBの利上げと高金利継続との見方が流れる一方で、米景気後退懸念も強まり、米10年債利回りが3.4%台へ戻したことも、ドル円の買いを抑えた。
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